Select Page

ブンタウは、ベトナムの熱海と言われているだけあって
(というわけでもありませんが)、やはりシーフードが充実していました。

ここは元々古くから漁師町として栄えていたようで、ブンタウ近海で水揚げされ
た魚介類は、ホーチミン市内のシーフードレストランなどでも多く使われて
いるんだとか。

夜の海にうっすらと浮かび上がる船の姿といくつもの灯り、ちゃぷちゃぷと波打
ち際に静かに寄せる波の音、どこからか集まってきて陽気に賑やかに宴を催すベ
トナムの人々。そして穏やかな潮風に吹かれながらオープンテラスでいただくシー
フード。まさに至福の時。

実は、ベトナムのシーフードをおいしいと感じたのは、10数年ぶりです。
かつて、私がこの国を一人旅で回っていたとき、海辺の田舎の屋台で食べた
シーフードはやはり最高でした。

しかし、欲張って食べすぎたせいか、はたまた半ナマのものがあったのか、
理由はわかりませんが、数時間後に死ぬほどの吐き気と下痢に襲われ、
異様なまでの大量の汗をかきながら、意識朦朧とした状態で這って何とか
近くのホテルに転がり込み助けを求めた、そんな体験をしたことがあるのです。

そこから1日半、飲まず食わずでひたすら部屋のベッドとトイレを何十往復もし
ました。日本から持ってきていた薬も、現地の薬もすぐには効き目なく、
気休め程度にしかなりませんでした。

散々苦しみ、疲れ果てていつの間にか眠ってしまった翌朝、目が覚めると、
なぜかすっかり元気になっていました。あの苦しみは何だったのでしょうか。

それ以来、といってもいいでしょう。ベトナムでシーフードを口にすることは、
どこかで無意識に避けていたように思います。幸いベトナムにはおいしい食べ物
がたくさんあるので、困ったことはありませんでしたが。

そして今回、かつてのトラウマを忘れ、舌鼓を打つほど「おいしい!」と感じた
のは、本当に10数年ぶりでした。

時間は9時過ぎ。まだまだ宴はこれからだ。
そんな様子で、より賑やかさを増した超満員のシーフードスレストランをあとに
して、意気揚々と宿泊施設へと戻っていったのでした。